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ワーキングメモリの機能を維持する生活習慣

今回はワーキングメモリの機能を高める方法ではなく、ワーキングメモリがよりその能力を発揮しやすくなる生活習慣について解説します。

具体的には、ワーキングメモリへの負荷をなるべく減らして、脳が働きやすいようにします。率直に言って、ワーキングメモリの機能を短期間で向上させるのは難しいものです。 脳の成長には時間がかかるからです。

しかし、日常生活から余計な負荷を減らして、ワーキングメモリを自由にすることは簡単です。具体的には、シングルタスクを心がける、整理整頓をする、睡眠を十分に取る、ストレス管理をするようにします。


 

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シングルタスクを心がける

ラジオや音楽を聴きながら勉強をするというのは学生さんなら当たり前にやっていることでしょう。しかし、1度に2つ以上のことを同時に行うマルチタスクを行なうと効率がガタ落ちします。効率が落ちることは自覚しているかもしれませんが、実は同時に処理しているというのは幻想です。

    ■結論から言えば・・・

    ジュネーブ大学のバルイエ氏は、パソコン画面で数字に関するタスクをしてもらった。タスクの種類により、数字は赤と青に色分けされており、赤の場合はその数字が5より大きいかを判断します。青の場合は、その数字が奇数が偶数かを判断します。

    その結果、赤のタスクだけに専念している場合は全体の成績が良かったが、タスクを交互にきりかえた場合は、被験者のワーキングメモリに負荷がかかり、答えるまでに時間がかかったうえ、誤答する確率も増えたのです。

この実験で重要なのは、タスクの切り替えを行なっていることです。結論を言うと、私たちの脳はマルチタスクをこなしているようで(ラジオを聴きながら勉強をしているようで)実際には1つずつのタスクを同時ににこなしているだけなのです。ラジオ⇨勉強という注意のスイッチを交互に切り替えているだけ。1つの作業を交互に行っているだけなのです。

さらにバルイエ氏は、こうも指摘します。タスクを切り替えるたびにワーキングメモリが消耗する、と。具体的には、勉強をしているときにスマホが鳴ると、ワーキングメモリの注意はそちらに向いてしまいます。そして、勉強に戻るとき、またワーキングメモリに負荷が掛かるのです。

スターバックスで勉強をしている受験生は頻繁にスマホをいじっていますが、これではワーキングメモリがヘトヘトに疲れてしまうでしょう。

シングルタスクを心がけましょう。ワーキングメモリを過労から解放するのです。スマホの電源は切って、耳栓をして、目の前の課題だけに集中します。これをするだけでも、脳はその能力を発揮しやすくなるからです。


整理整頓を心がける

最近は断捨離がブームなので、キレイに片付けられた部屋が人生に良い影響を及ぼすことはよく知られています。 実は、ワーキングメモリと作業環境に関する研究はほとんどされておらず、その関係はわかりません。

そのため、科学的な裏付けを待つ必要がありますが、散らかった部屋は情報が散乱しており、ワーキングメモリに負荷を与えるかもしれません。

だいたい、デスクが汚いと仕事がはかどりません。「あの明細どこにあった?」と書類の山をゴソゴソと探そうとするときも、前述のワーキングメモリの切り替えがなされています。集中力が途切れますし、仕事を再開するのにも、ワーキングメモリはスイッチを切り替えなくてはなりません。


筆者は自営業者なのですが、ここぞと言う時はホテルに宿泊して仕事をしています。ホテルの部屋は家具や物が必要最低限しかないので、余計な情報がありません。そのため、仕事への集中力が格段に高まるのです。

おそらく、ワーキングメモリへの負荷が必要最小限に抑えられるので、仕事だけに注意を向けやすいのです。ワーキングメモリを自由にするには、脳内スペースだけでなく、物理的なスペースもシンプルにしましょう。


 

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睡眠をしっかり取る

数々の研究結果によって、睡眠時間が足りなくなると、ワーキングメモリが適切な指示を出せなくなることが明らかになっています。具体的には、ワーキングメモリが他の認知機能の活動を補うことになります。

睡眠不足が続くと、人間の脳は基本的な認知メカニズムの電源を落としてしまい、「省エネモード」になってしまいます。 それでも、勉強や仕事に取り組む場合は、認知機能の低下をワーキングメモリが埋め合わせます。

睡眠とワーキングメモリに関する実験がこのシステムの存在を示します。睡眠不足の被験者が基本的な認知課題にすら手こずるようになるのに、
難易度の高い課題を解くことができる人がいることが確認されています。

睡眠研究者のポール・ホイットニーは、これはワーキングメモリによる埋め合わせの結果であると指摘しています。 しかし、残念ながらワーキングメモリの埋め合わせにも限界があります。徹夜で勉強や仕事をしていれば効率が落ち、普段ではしないような凡ミスをするのはご存知の通りです。


ワーキングメモリが埋め合わせの仕事で忙しくなり、本来の能力を発揮できなくなるからです。寝不足は、まったくいいことがないのです。

また、睡眠不足が続くと「海馬」の機能が衰えます。海馬はデリケートな部位です。睡眠不足や過度なストレスが続くと、神経細胞の修復が進まずに、ダメージを受けます。実際に、海馬が萎縮することもあります。

ワーキングメモリの主要な機能のひとつは、海馬との連携による記憶の処理です。私たちがインプットした情報は、海馬に一時的に蓄積されて、その後に長期記憶として保管されます。海馬は「記憶の入り口」なのです。
そのため、海馬が衰えると、記憶力の低下につなってしまうのです。

ことほどさように、睡眠不足はワーキングメモリを含む脳の機能に悪影響を与えます。ビジネスパーソンも受験生の皆さんもしっかりと眠るようにしましょう。徹夜で勉強をしてもザルで水をすくうようなものなのです。


ストレス管理をする

ストレスもワーキングメモリに負荷をもたらします。イェール大学がラットを用いた実験を行いました。ラットのストレスとなるプロテインキナーゼCを利用して、ストレスとワーキングメモリの関係を検証したのです。

その結果、ラットにストレスを与えるとラットのワーキングメモリは機能が低下しました。判断力が鈍くなったり、衝動的な行動を見せるようになったのです。ストレスでワーキングメモリの機能が低下したのです。


ワーキングメモリに伸び伸び仕事をしてもらうためにも、ストレス管理をしなくてなりません。筆者は、ストレス解消法として「有酸素運動」を取り入れています。有酸素運動をするとβエンドルフィンやセロトニンが分泌されて、幸福感や高揚感が得られます。気持ちがスッキリするのです。

それだけなく、有酸素運動によって脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が分泌されることが1996年に確認されました。BDNFは、神経の栄養となり、脳内のニューロンが増加することが確認されているのです。


神経科学者アーサー・クレイマーらは、運動をあまりしない60~79歳を「有酸素運動」群と「ストレッチ」群に分けて、週3回、1回1時間ずつのトレーニングを行ってもらいました。6ヶ月後のMRI検査で、有酸素運動群は前頭葉と側頭葉の皮質の容積が増えたことが確認されたのです。

また、ランニングはワーキングメモリを鍛えるには、とても優れたトレーニングです。ランニングをすると、姿勢を安定させたり、ペースを維持したり、転ばないようにコースを選択するなど、様々な処理があります。

私たちが想像しているよりも判断力と注意力を必要とするので、ワーキングメモリに負荷がかかります。そのため、機能を強化できることが実験で確認されており、ストレス解消と機能強化を兼ねることが出来るのです。

 

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